SMプレイというものをこれまで一度も経験したことがなく、自分自身がSかMかどうかよくわかってない……という人の多くは、自分はどちらかといえばMかもしれないな、と思っていることが多いです。なぜMと思うかといえば、消去法なんですね。自分はSではないだろうから、じゃあ残ったMなんだろうな、という消極的な理由でMを選ぶ人がほとんどなのです。
なので初心者だったり始めたばかりのMというのは、すべてが受け身になってしまいがちです。相手がしたいことのすべてを受け入れることが私の役目であると。それこそが愛のカタチであると。そう思ってしまいがちなのですが、実はそれって大きな過ちです。
セックスにおけるアクセントとして、ちょっとしたままごと程度のSMプレイならそれでもいいかもしれません。でも、SMプレイをちゃんとやりたい!もっとSMを楽しみたい!というのであれば、M側の意識改革というのはとても大事なことになってきます。なにせ、ほとんどのカジュアルなM女というのは積極性なんてものがほぼありません。ただ、ひたすらなすがままにされるだけ。
そんなM女を相手にしていても、すぐに飽きてしまうんです。そういう人たちというのは自由を奪われたり、強引にされたり、ちょっと乱暴にされてみることで自分自身の居場所を確認したいだけなんですね。普段はしないことをして、それを求めてくれる人がいる。そこでもう満足をしてしまい、相手になすがまま、されるがままになっている時点でもうゴールなんです。それ以上の発展はありません。
いわば一方通行のSM行為なんですね。S側はしたいことができて嬉しいし、M側も乱暴にされることでい
初心者や入門したばかりの人はそれでもいいんです。まずは難しいことをあれこれ考えずに、SMプレイって楽しい!きもちいい!って思ってもらうためのお試し的なプレイと思えば決して否定はできません。でも、その地点で満足してしまい同じレベルのことをずっと繰り返すというのは、私からしたら実にもったいないなと思ってしまうわけです。
なにせ、相手はまだまだ未熟なM女ではあるものの、せっかくM女としてのプレイを受け入れているのなら、ズブズブのドM女にイチから調教してしまうというチャンスがあるのですから!
M女を育てるためには、S側の立場に立たせてみる
では、そこから次のステージへ行くためにはどうしたらいいのか?S側のプレイの引き出し次第ではうまく導けるかもしれませんが、初心者同士のスタートというのもよくありますからね。よく使う手で簡単なものとしては、M女にSの役をさせてみることをしています。いわゆる主従逆転というプレイなのですが、完全に主従が逆転するのではなく、あくまでプレイの一環として「Sの役をやってみろ」という命令を下すわけですね。
そうなれば命令なので断るわけにもいきませんし、たとえおぼつかなくて恥ずかしくても命令だからやらなきゃいけない……と、うまくSMプレイとして変換してくれますので、入り口としてはちょうどいいと思います。
もちろん、最初はうまくいかないでしょう。なにせこれまでずっと受け身でなにもしなくても相手がなにかをしてくれる、という状況に甘んじてきたわけですからね。でも、そういった困惑や戸惑いがのちのちになって生きてくるんです。S側ってこんなに大変だったんだ。私はただこの人に甘えていただけなんだ、と気付かされるわけですね。
S側になってみて初めてわかることはたくさんあります。中でも「相手のことを隅々まで、一挙手一投足を観察しなければうまくできない」という発見ができたM女はいい女に育つことでしょう。その視点を持つことで、今までは決して交わることのなかったお互いの線が、交差するようになるんです。一方通行でしかなかったSMプレイが双方向の、ほんとうのSMプレイへと進化するわけですね。
もっとも、これを経ることでSの楽しさに目覚めてしまう……という本質的には実はSだったという人も結構いました(笑)ただ、S側をやれる人というのは実はM側も大好きだったりしますからね。S側の苦労を知っているからこそ、M側になったとしてもS側の求めていること、したいことを瞬時に察知して、それに合わせて臨機応変に動いてあげられる……。まさにS側にとっても理想のMといえるでしょう。
Sに目覚めるまではいかなくとも、普段はワタシを調教をしてくださっているご主人様に対してS女としてあれこれとムチをふるったり、暴言をはいてみたりと精一杯のS女っぽいプレイを頑張る。すると、本来のM女とS男という立場に戻った時に、M女から責められるという屈辱を味わい、S心を大いに刺激されたご主人様から倍返しのお仕置きをされたいがためによりイイS女を演じる……というM女もいるそうですから。そんなM女に当たったら大事にしてあげたいくらいのいい女といえますね。
Sになるためには「相手が気持ちよくなることで自分も気持ちいい」という奉仕の心が欠かせません。それと同じように、Mとしてレベルを上げていくのであれば「自分が気持ちよくなるためには相手のことも気持ちよくさせてあげる」という気持ちを持たせることが大事です。自分と相手、どちらに重きをおくかの違いですが、お互いに自分さえ良ければいい、というワケでない気持ちなのは同じですからね。SMにとってはその気持ちが一番大事といえるでしょう。
そういった密度の濃い関係をもつことができると、日常生活においても非常に充実してきます。SMプレイという非日常行為を存分に楽しむことで、日常生活にもメリハリが出てくるのです。日常生活があるからこそ、非日常行為のSMプレイが際立つんだ、と考えるようになると、日常生活をよりがんばろうという気持ちが自然と芽生えてくるわけですね。
SMプレイというのはただ激しくアブノーマルなセックスというわけではありません。精神的にとても満たされて人間としても成長できる、そんな素晴らしい行為だと私は思っています。私も最初はたかが出会い系で知り合った女に……なんていう、ちょっと見下したといいますか、そんな偏見を持っていたのですが、今ではそれが大きな過ちであり愚かだったと思っています。彼女たちから学ぶことは多く、得たものも大きかったです。
今の時代、SM出会い系サイトを利用すればそういった相手がすぐに見つかるというのは本当に恵まれた時代になったものですね。私はもう30代も半ばになってから利用するようになりましたが、もっと若い頃から始めていれば……もっともっと違った人生を歩めていたろうなとたまに後悔することもありますが、でも今の時点でそれに気づけているだけでも幸せだと思うようになりました。
みなさんもぜひ、ほんとうのSMプレイを体験してみてください!