今では当たり前のように広まっているSMプレイですが、ほんの数十年前まではアンダーグラウンドで日の目を見ないごくごく一部の愛好家のみが楽しむものでした。
小学生だって亀甲縛りや、ムチやロウソクで責めるといった概念をなんとなく知っていることでしょう。それは性的な意味合いではなくあくまでも「おもしろ」として受け取っていますけどね。
テレビのバラエティなどでもSMプレイを模した内容が出てきますからね。芸能人がお仕置きとしてムチで打たれたり、縛られたりなど……。
一世を風靡した「笑ってはいけないシリーズ」もムチが吹き矢に置き換わっただけで同じような構図です。
そんなカジュアルで一般的になったSMプレイですが、どういった歴史があって今に至るのかを知っておくのも楽しいですよ。
成り立ちと歴史
SMプレイ、すなわちサディズム(S)とマゾヒズム(M)を含む性的活動は、古代から存在していたと言われています。
この二つの概念は、フランスの作家マルキ・ド・サドとオーストリアの作家レオポルド・フォン・ザッハー=マゾッホの名前に由来しています。
サドは18世紀のフランス貴族であり、彼の著作はしばしば暴力的かつ性的に露骨な内容を含んでいました。彼の作品はサディズムの概念を広めました。
一方、マゾッホは19世紀の作家であり、彼の作品には自己の苦痛を通じて快楽を得る登場人物が頻繁に登場しました。このため、彼の名前がマゾヒズムの語源となりました。
SMの文化的背景
20世紀に入ると、SMはより明確な形でサブカルチャーとして発展し始めました。
特に1950年代から1960年代にかけて、アメリカやヨーロッパでSMに関するコミュニティが形成され、雑誌や書籍が出版されるようになりました。
この時期には、ボンデージ(拘束)、ディシプリン(調教)、ドミナンス(支配)、サブミッション(服従)、サディズム、マゾヒズムの頭文字を取った「BDSM」という用語も生まれました。
1970年代には、LGBTQ+コミュニティの一部としてSM愛好者のコミュニティがより広く認知されるようになりました。
サンフランシスコやニューヨークなどの都市では、SMバーやクラブが開かれ、愛好者が交流する場が提供されました。
また、この時期には「セーフ、サン、コンセンサス」(Safe, Sane, and Consensual)という基本原則が確立され、SMプレイが同意に基づくものであることが強調されました。
有名なSM愛好家
SM愛好者の中には、有名な人物も含まれています。例えば、20世紀のアメリカの写真家ロバート・メイプルソープは、SMの要素を含む芸術作品を多く制作しました。
彼の作品は、SMの美学や力動を探求するものであり、その作品は今でも評価されています。
また、イギリスの作家・詩人オーブリー・ビアズリーもSMに関心を持っていたと言われています。
彼の作品には、しばしばエロティックなテーマやサディスティックな要素が含まれており、その作風は多くの人々に衝撃を与えました。
さらに、現代の有名人の中には、SMをテーマにした作品を発表する者もいます。
例えば、アメリカのポップ歌手レディー・ガガは、彼女のミュージックビデオやライブパフォーマンスでSMの要素を取り入れることがあります。彼女は自身のアートを通じて、性的な自由や多様性を表現し続けています。
SMの現代的な位置づけ
現代において、SMはより広く受け入れられ、多様な人々によって実践されています。インターネットの普及により、愛好者が情報を共有し、コミュニティを形成することが容易になりました。
オンラインフォーラムやSNSでは、SMに関する議論が活発に行われており、新しいアイデアやプレイの方法が次々と紹介されています。
さらに、心理学や性科学の分野でも、SMは研究の対象となっています。
多くの研究が、SMが健全な性的表現の一形態であり、適切な同意とコミュニケーションに基づく限り、心身に悪影響を及ぼさないことを示しています。
まとめ
SMプレイは、古代から現代に至るまで、多様な形で存在し続けてきました。
文化や社会の変遷に伴い、その受容度や実践方法も変化してきましたが、基本的な概念であるサディズムとマゾヒズムは一貫して存在しています。
現代においては、SMは性的多様性の一部として認知され、様々な背景を持つ人々によって実践されています。
また、有名人の中にもSM愛好者が存在し、その活動や作品を通じて、SMに対する理解と受容が広がっています。