前述のとおり、自分はSM出会い系というものが存在してから始めたもので、それ以前のSM界というものを知りませんでした。
しかし、SM出会い系を通じて知り合った人たちや、リアルでのSM専門店などで知り合った人たちから、その時代の話を聞けることがたまにあります。
それを聞いて思うのは…今は本当に恵まれているんだな、ということです。
なにせ、いまは全てにおいてSM趣味に対して寛容であり、満たしやすい環境であるといえます。昔はSM趣味というのはもっとディープなもので、ソフトSMなんて言葉もなく、SMといえばハードなものという固定イメージでした。
たとえば荒縄で和服の女性の身体をしばって天井から吊るすとか…赤く太いロウソクをふんどしで四肢を縛られた男性の身体に垂らすとか、そういう古典的なSMイメージというのはこの時代を今でも引きずっているといえるでしょう。
当時のエロといえば写真集がメインであり、ビデオも画質が粗く数も少ないという、
では、それを見てSM趣味に目覚めた人はどうしてたかといえば…。SM専門雑誌の読者コーナーのようなもので相手を募るというものでした。もちろん、メールなんて便利なものはありません。文通という手段です。
これは、と思った人に手紙をだし、数日おきに1通という頻度で少しずつ親交を深めていき、数ヶ月単位かかったのちにやっと会う…というプロセスだったようです。もちろん相手の顔なんてわからないことがほとんどです。
そんな多大な時間を使って会った相手がとんでもないブスやデブだった…なんて話も珍しくありません。今も出会い系ではよくある話ですが、メールやサイトというデジタルな媒体を介している分、あまりダメージはありません。しかし、手紙という肉筆でアナログな媒体であれば…そのダメージはより大きなものとなっていたことは想像に難くないものと言えます。
今では出会い系に登録をするだけで、全国各地老若男女問わずいろんなSM嗜好の人がすぐに見つかります。しかも、リアルタイムで連絡がとれて一瞬で返事が返ってきます。おそらく、先人の方たちが今の状況を見たら涙を流して喜ぶことでしょう。そんな先人たちが土台を作ってくれたおかげで、今の状況があるとも言えます。
いま、この恵まれたSM土壌があるのに始めないのは実にもったいないことだと思いませんか?